5年生の道徳は「オオカミから教えられたこと」です。筆者は現在旭川動物園の園長をしている板東 元さん。板東さんは元々獣医さんです。
小さな頃から動物が好きだった板東さん。あるとき,板東さんがかわいがっていたインコがとつぜん死にました。何もできなかった板東少年は将来動物の命を救う仕事につこうと思うのでした。獣医になって動物園で働き始めたとき,忘れられない出来事がおこるのです。
古くて,小さなオリにかわれていたオオカミ5匹,そのうちの一匹は年老いたおばあちゃんオオカミでした。おばあちゃんオオカミは病気となり,いろいろ調べる獣医の板東さん。調べた結果,原因はわかったけど手術ができない状況。板東さんは薬でと思いますが,元々野生のオオカミです。からだにふれさせてもくれません。しょうがなく,吹き矢で麻酔を打ち,薬を投与するのでした。何日か,この方法で治療して,少しづつよくなってきました。しかし,はじめは力強くにらんできたおばあちゃんオオカミは今ではおびえるようになったのです。
なんとか治療を試みる板東さん。ここで,みんなは命について考えます。獣医である板東さんが行動は,命を尊重した行動であったか,そうでない行動だったのか。
「オオカミさんの病気を治したいという気持ちだから損等しているんじゃないかな」
「むりやりやるのはよくない。おびえるくらい痛い治療はどうかなと思うな。」
「ぼくらや家族も病院に行くけど,自分らが治療を許可しているからな~」 などなど,たくさんの意見が出てきます。
今日みなんが一番使ったワードは「う~ん」「それもそうだけど・・・」だったね。一人一人が,じっくり考えている様子がヒシヒシと伝わってきます。
また,お友達の意見を聞く態度,姿勢がええね。
だいぶ回復してきた様子のおばあちゃんオオカミ。「よくがんばったね。今日でこのような治療はやめよう。もう一回だけがまんをしておくれ」と麻酔をうちました。すると,オオカミはショックを起こし死んでしまったのです。助けたい一心で治療にあたり,それが命をうばうことになるなんて・・・。何が何でも治療する,それがよいことだったんだろうか,と悩む板東さんでした。そして,動物の立場で考えると,「誇りをもって生き,命をまっとうすることが一番大切ではないのか,自分が思っていることと相手がのぞんでいることは必ずしも同じとは限らないのだ」と思うのでした。
現在板東さんが館長をつとめる旭川動物園は,動物たちが本来の姿を誇らしく見せることができる動物園を目指し,展示方法などを工夫して,全国でも人気の動物園になったのです。板東さんは言います,「生きるとは,死ぬまでその命をかがやかせることだ」と。
こう言う題材の内容を扱うときには,落ち着いた雰囲気で,じっくり考え,みんなの意見を聞き,またじっくり考え自分の考えをまとめることが重要です。
今日は,じっくり考えることができたね。さすが5年生だ。